空と君とダイヤモンドと

「あたし、帰る!」



イスからカバンを取って走り出す。



「え!?瑛梨奈!?」



瑛梨奈の友達がびっくりして、瑛梨奈を追いかけようとする。



「待って。俺が」



その子の腕をぐいっと引っ張って、代わりに俺が走る。



「瑛梨奈!」



道を走る小さな背中に向かって叫ぶ。

そんなに足の速くない瑛梨奈に追いつくなんて簡単で。
すぐにその腕は捕えられる。



「追ってこないでよ…」


「無理だよ。瑛梨奈のこと知らないふりなんてできない」



嘘でも瑛梨奈を知らないことになんかできないんだ。



「だって、もうあたしのことなんて知らないんじゃないの…?」


「知らないわけないだろ。知らなかったら追いかけるなんてするか」


瑛梨奈のことなんてまだまだ知り足りないぐらいだ。
働きだしてからの瑛梨奈のことが全然わかんねぇ。



「なに、それ」


「俺はずっと変わらず瑛梨奈のこと想ってる」


俺の言葉に顔を赤くして下を向く。
大学時代からかわらない。