「…ワカ？」



声で俺だと分かったのか振り向いた瑛梨奈の表情は戸惑いだった。



「瑛梨奈」



久しぶりに触れる瑛梨奈の手。
もう全てが愛おしくて、その手を引っ張ってビルとビルの間に引きずりこむ。



「ワカ！？」



当然瑛梨奈はびっくりして俺の名前をもう一度呼ぶ。
俺の名前を呼ぶその唇さえも愛おしくて。
ビルの壁に瑛梨奈を押し付けて、強引に俺の唇を瑛梨奈の唇に重ねる。



「ちょ…んっ…」



俺の舌の動きに翻弄されて瑛梨奈の顔がどんどん甘くなってくる。



「…ごめん、瑛梨奈を前にしたら止まらなくて」



こんなに俺の中で瑛梨奈への気持ちが残ってたなんて思わなかった。



「…なんで会社？」


「んー。たまたま瑛梨奈と同じ会社の子を待ってたみたいだね。俺。瑛梨奈でてきてびびった」



瑛梨奈を離したくなくて、抱きしめて話す。



「それって加耶さん？」


「え？」


瑛梨奈の口から加耶の名前が出てきてびっくりする。