空と君とダイヤモンドと

「よっしゃナイスピッチング!」



良基がそう叫んだのとワカがガッツポーズをしたのとだいたい同じ頃だった。
この回3人でピシャリと抑えたワカ。
やっぱりピッチングをしてるワカはカッコイイ。



「お、戻ってくるぞ」



キャッチャーとグータッチをして、マウンドからベンチへと歩いてくる。



「ユニちゃんと見せろ」



ぐいっと良基があたしの持ってるユニを引っ張るのでつられてあたしも前のめりになる。



「見やすいだろ」



ここの席は最前列なので選手からも見える位置にある。
ワカからも見えてしまうのかな。



「…ワカ」



こっちを見てほしいと願わずにはいられなくなる。



「っ」



ちらっとワカが客席に目をやる。
そしてフッと笑ったんだ。



「いま、あいつ瑛梨奈のこと見ただろ?」


「そうかなぁ」



見られた気はした。
でも、連絡をくれないワカのことを思うと悲しくなるし、切ないから。
あたしを見たとは思えないんだ。


またいつか、ワカと話せる日はくるのかな。