━━大澤くーん!

━━浦島くーん!


そんな歓声がたくさんドーム内からきこえる。



「やっぱドラフト上位は人気だな」


「いや、お前もだいぶ呼ばれてるぞ」


「え?」



自分で自分の名前がよばれてる気がしない。



「自分の名前だけきこえねぇのかよ」


「いや、椎名の名前も聞こえねぇよ?」


「それは呼ばれてねぇんだよ。殺されたいのか?」


「いや、できるだけ生きる方向でお願いします」



椎名とそんなやり取りをしてると段々と緊張が解れていく。



「親とか来てんの?」


「親と彼女が来てる」


椎名がボソッという。



「彼女いんのかよ」


「いるしょ。彼女くらい。ワカもいんだろ?」


「いるって言えたらよかったんだけどねぇ」



俺の言葉に椎名が憐れみの表情になる。



「その顔やめろ。お前自分がいるからって調子乗るな」


「スミマセン」



そんなどっちかの立場が上になったり下になったり。
こんなやり取り出来るやついままで地元の幼なじみひとりと良基だけだったから、心地がいい。