「塁さんにはあえてねぇの?」


「この前の大会以来だよ」



あの大会からもう1ヶ月。
あたしたちも夏休みに入って北海道にきてしまったし。
塁くんに会えない日々が続く。



「まぁ、就活終わるまでの辛抱か」


「そうだね」



就活が終われば、うん。
また卒業までたくさん会えばいいんだ。
遠距離になる前にたくさんね。



「お、瑛梨奈これ有名なやつじゃん」



あたしのカバンに付いてるお守りを星那が触る。



「有名なの?」


「うん。すごい並ぶしいよ」


「そうなんだぁ、これ、塁くんにもらったの」


「…塁さんに?」



なぜだかワカが悔しそうな顔をしてる。



「ワカ?」


「なんでもねぇ。戻る」



少し不機嫌そうなまま、ワカは走ってった。



「どうしたんだろ?」


「俺みえた」


「は?」



何が見えたのかわからなくて首をかしげる。


あたしにはなにも見えなかったけど。