「俺、これからも瑛梨奈と幼なじみでいたいんだけどそれは無理かな?」



星那の言葉にワカがそっとあたしの手を離す。



「…星那」


「俺は瑛梨奈のこと多分知らないうちにたくさん傷つけてきたと思う」


「…そんな」



たしかに莱久のことを星那が好きだって自覚してから
莱久の話を聞く度に胸を痛めたよ。
雷人に邪魔されたおかげで莱久と別れることになって傷ついてる星那を慰めてるときだって、なんであたしじゃないんだろうって隠れて泣いた。

でも、どれも星那は知らないことで。
あたしが勝手に傷ついてきたことだった。



「…でも、俺にとって瑛梨奈は大事な幼なじみだから。莱久と雷人とはもうあんなふうに一緒にいることはできないけど、瑛梨奈は失いたくない。大事なんだよ」


「…ありがと。十分だよ」



こんなに大事に思われてそれだけで十分だよ。



「じゃあバス出発するから」


星那がそう告げてあたしの頭を撫でる。



「またね」



未来に繋がる約束をして。