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「お邪魔しまーす」


「ふっだれもいないよ」



塁くんが鍵をテーブルに置く音が響く。



「よく、くるんだね」


「うん。飲むと帰るの面倒でさ」



塁くんの寮の部屋にふたりきりはあるけど、寮とはまた別の場所でふたりきりの空間ってなくて妙な緊張が走る。



「なに?緊張してる?」



後ろからふわっと抱きしめられる。



「…なんかいつもと場所が違うし」


「だね。でも俺はこうしたかったよ」



塁くんがいつもより甘くなっている気がする。



「酔ってる?」


「酔ってないよ。好きな子と2人になりたいのは普通だよ」


「なんかいつもと違う」



さらにギュッと塁くんの腕の力が増す。
こんなふうに後ろから抱きしめられた経験なんてなくて、心臓が飛び出てしまいそうになる。