空と君とダイヤモンドと

「ここ座りなー」



お兄さんがカウンターの席を指さす。



「お邪魔します」


「塁の彼女?」


「あ、はい…」



〝彼女〟
と言われることにまだまだ慣れていないようで、なんだか照れる。



「高校の先輩の潤(ジュン)さん。で、俺の彼女の瑛梨奈ちゃん」


「瑛梨奈ちゃん?聞いたことある名前だし、見たこともある」


「そんなバカな」



この人に会ったのは初めてだし、名前だって知るはずもない。



「あー、俺のかわいいかわいい弟くんの好きな子だ」


「…え?」


「あー…潤さん、ワカの兄ちゃん」


「え!?」



ビックリして潤さんの顔をマジマジと見る。


…似て、ないよね。



「そんな見ても似てないと思うよー。俺は父さん似で大輝は母さん似だから」


「なるほどー」



顔は似てないけど、でも……



「雰囲気が似てる気がします」


「ははっ。それは家族にも言われるやつだ。瑛梨奈ちゃんよく見てるね」



嬉しそうに笑う。