「瑛梨奈ちゃん」



先についていた塁さんが瑛梨奈の元に歩いてきて手を引いていく。



「もう、手を繋ぐこともできないのかな…」



誰にも聞こえないような声で呟いて、自分の手を見る。

塁さんと瑛梨奈が付き合えば、俺が手を繋ぐことも抱きしめることも出来なくなる。

それが今までできてたのも実際はおかしいのかもしれないけど。


やっぱり好きだから触れたいと思うし、近づきたい。



「ワカー。乗るぞー」


「おう」



良基の声に俺もとオープンバスに乗り込む。



「こんなん乗るの初めて!」



横で良基がはしゃいでる。



「そんな何回も乗るもんじゃねぇだろ」


「プロになったら乗れるかもな」


「プロでもなかなか乗れるもんじゃねぇしな」



優勝なんてプロになったからといって必ずできるものでもない。
でもいつかはその舞台に自分がって思いはもちろんある。
だからこそプロになりたいんだ。