「累くんも好きだったんだもんね…」


「好きだから付き合ってた。でも好きじゃなくなったわけじゃないってのは前にも言ったよね」


「はい…」



累くんは〝涼香のことはすごく好き〟って言っていた。



「どうして人は出会っちゃうんだろうね。すごく好きな人がいるのに。更に好きな人に」



真剣な眼差しであたしを見てる累くんに〝愛の告白〟をされているような錯覚を覚える。
その眼差しが〝好きだ〟って言ってるように見えて。
勘違いかもしれないけれど、ドキドキする。



「累、くん」


「ん?」


「これ…」



累くんの眼差しに耐えきれなくなってあたしはカバンからチョコを出す。



「もしかしてバレンタイン?」


「そう、です」


「はは。嬉しいな」



すごく大切そうにチョコレートを手に取る姿にやはり自分がすかれているんだと思えてきてしまう。



「去年は誰かにあげた?」


「ワカに…」



〝ワカ〟と言った瞬間に少し悲しそうな目になる。