「ふふ。累の近くにいたいからいまはこっちにいるの」


「やめろよ。そーゆーの」



累くんはメニューを広げてあたし見せてくる。



「累ったら照れ隠し?」


「ハンバーグランチ。瑛梨奈ちゃんは?」



目の前の累くんは涼香さんの言葉なんて無視して注文をする。



「オムライスを」


「わかった?仕事すれば」



冷たく言い放つ。



「ふふ。照れちゃって」



怪しい笑みを浮かべたまま厨房に向かう。



「よかったんですか?」


「いいも悪いも意味わかんねーよ。なんでこっちにいんだよ」



頭を抱えてる。



「累くんのことよっぽど好きなんですね」


「いや、あれは違うだろ。執着だろ」



たしかに涼香さんからはその類のものが感じられた。



「あんなんじゃなかったんだけどなぁ」


「変わっちゃったんですね」


「まぁ、俺のせい…か」



そう小さく笑う累くんはどこか悲しそうだった。