空と君とダイヤモンドと

「どっちでも、いいじゃん…」



〝付き合ってない〟って言ってしまえばいいのに
なんだか言いたくなくて。



「俺には関係ないか。付き合う必要のなかった元彼だもんな」



〝必要のなかった〟って言っているのはワカなのに、どうしてこの人は今度はこんなにも傷ついた顔をしてるのだろう。



「そんなことなんで言うの…」


「チョコちょーだいよ」



あたしの質問には答えずにあたしに手を出す。



「え?」


「瑛梨奈のチョコ欲しい」



あたしの目線と同じ高さまでしゃがんでる彼の表情はあの頃のものだった。



「なん、で…」



そんな惑わすようなことを言うのだろうか。
せっかく吹っ切れそうなのに。
引き戻そうとしてくるのだろうか。



「冗談だよ。累さんと楽しんでな」



あたしの頭にポンッと手を置いて



「じゃあな」



と去っていく。



またあたしの中にワカを残していくなんてずるすぎだよ。