「瑛梨奈といても楽しくなかったんだ」



あたしとは真逆の心境だったらしい。
あたしはワカといるのが誰といるよりも楽しかったから。



「…っ」



何も返せなかった。

ポケットの中に手をいれると
ワカにあげたかったクリスマスプレゼントがある。


これだけは…。



「わかったよ」



あたしはポケットから〝それ〟を出して彼の手に乗せる。



「これ、は?」


「クリスマスプレゼント」



ワカの手でプレゼントを握らせる。



「いらねーよ」


「これぐらいもらって?捨ててくれてもいいからさ」



あたしは涙が出そうになるのを必死に堪える。
これが終わったら〝さよなら〟をするから。
幸せだった期間に。



「…分かった」



もらってくれるのか捨てられるのかはわからないけど。



「今までありがとう」



あたしはペコッとワカに頭を下げて背をむける。



「帰んの?」



ワカのその言葉には答えなかった。
もう涙が出てきて答えることなんてできなかった。