「瑛梨奈ー!」



後ろからバタバタって走ってくる足音。



「架純ー!」


「一緒に行こう」



あたしの隣に並ぶ。



「俺は無視かよ」


「あ、いたんだ。瑛梨奈しか見えなかった」



クスって笑う架純。



「お前らマジで俺のすごさわかってねぇ」



若松くんはとても悔しそう。
きっといままでの人生女の子にこんなふうに扱われたことがないのだろう。
この人顔はいいもんね。



「ワカー!また置いてっただろ!」



バタバタ大きな足音。



「お前転んでスーツ汚れるぞ」



若松くんが笑う。



「転んだら俺をおいてったワカが悪いんだ!」



羽山くんがふくれっ面になる。



「ガキかお前は」


「あ、瑛梨奈と架純おはよ!」



ふくれっ面から一変王子様スマイルになる。


何重人格だ。こいつは。



「おはよう羽山くん」


「おはよう」



あたしたちも羽山くんに挨拶をする。