「普通に世間話?」


「なんだそれ。深刻そうに見えたけど違うのか」



そんな雰囲気出てたのかな。
ただ単に1組のカップルが別れを迎えたに過ぎないのに。

それにあのふたりが別れたからといって
塁くんはあたしのこと〝好きになったことはない〟んだ。
だから何の関係もないんだよ。



「もうすぐ秋季リーグだね」


「あー!なんかやばい!俺いま幸せだから絶好調になれそう!」



そんなふうに笑うワカにあたしの頬も緩む。



「ワカと一緒にいれてあたし幸せだよ」


「ははっ。なしたんだよ急に」


「幸せだなーって感じたの!」



自分で言っといて恥ずかしさがこみあげる。



「俺も幸せ。瑛梨奈が俺といて幸せに思ってくれてるならそれでいいよ」



ワカが言った後にふとどこか寂し気な顔になる。



「ワカ?」



その表情が気になって声をかけるも


「ん?」



すぐにいつもの笑顔に戻る。


気にはなったけど


「よし、部活がんばろ!」



伸びをするワカに気のせいだと自分に言い聞かせる。