「酒足りないなー買ってきてー」



良基がビールの空き缶を振る。



「やだよ。良基が行けよ」


「お前も飲んでんだろ!」



良基の言い分はごもっともである。
でも俺だけってのは不公平。



「じゃんけんなじゃんけん」



良基に向かって手を出す。



「ゼッテー勝ってやる!」



そんなに行きたくないなら飲まなきゃいいのに。
まぁ、今の俺は飲まなきゃやってられないけど。



「「さいしょはぐー!ジャンケンポン」」



俺が出したのはグー
良基が出したのはパー



「よっしゃー!」



どんだけ行きたくなかったのだろう。
じゃんけんに勝ったぐらいでこいつは大喜びしてる。



「同じのでいい?」


「おお!頼んだ!」



俺は財布をポケットに入れて玄関に向かう。



「たぶんいいことあるよ」



口笛を吹きながら言う。



「なんだよ」


「内緒!」



得意げに言う良基を不思議に思いながら家を出る。