空と君とダイヤモンドと

「はぁー。せっかく瑛梨奈と2人なのになんでアイツ…」


「ごめんね。ここお店ないの。ここしか」


「わかってるよ」



ゴクリと水を飲んで、動く喉仏の動きすらワカは色っぽいなと思う。


あたしはなんでこんなにかっこいくて、あたしのことを思ってくれてるこのひとのことを
好きになれないのだろうか。


そこには理由なんてないように思える。
理由がなく塁くんをすきだから。



「ワカってモテるよね」


「は?」



突然のあたしの発言に険しい顔になる。



「いつも誰かに言い寄られてる」



大学でも部活でもこんな離れた土地でも
いつもワカのことを好きな子が必ず現れるんだ。



「俺は望んでねーけどな」



ワカのあたしを見る瞳が真剣で思わず逸らしてしまう。



「俺のこともっと見てよ」



あたしの顔を自分に向かせる。



「どんなに誰かに思われても、俺が好きなのは瑛梨奈だけだよ」


「…ワカ」



胸がきゅうっとくるしくなるのに。
どうしてワカのことを好きだとは思えないんだろう。