「いや、待って」



見上げるとまたちょっと悲しそうなワカの顔。



「俺は瑛梨奈のそばにいれないなんて願ってない」


「え?」


「あの時なんであんなふうに言っちゃったのかわかんないけど、瑛梨奈のそばにいることは自分で望んだことなのにただの俺のワガママだった」



ワカがあたしを抱きしめる。



「ワカ?」


「瑛梨奈が俺のそばにいれないのを嫌だって気持ちでいてくれるの俺は嬉しいよ」



ワカの言葉にずっと抱いていた心の闇が薄れていく。


あたし、ワカと話したかったんだ。
ずっと寂しかったんだ。



「だから瑛梨奈がそばにいていいって言うならそばにいさせてくれないかな?」



あたしはワカの言葉に何回も首を縦に振った。



「振りすぎだし」



ワカの久しぶりに見せてくれた笑顔に心が軽くなる。



「よかった」


「ん?」


「もうワカの笑顔みれないかと思った」



あたしの言葉にワカがフッと真面目な顔をする。



「ごめんな話しにくい雰囲気作っちまって」


「いいの。電車乗ろうか」



二人で電車に乗り込む。

ひとつ大きな経験ができたかな。