「なんで俺ら付き合ってないんだろ」


「何言ってるの?」


「だって俺が抱きしめても抵抗しないじゃん」


「抵抗したほうがよかった?」



あたしはワカから抜けようとする。



「ばーか。そんなんさせねぇし」



抜けようとするあたしをさらっと受け止めてしまう。
男の子なんだよなって実感する。



━━ジャリッ



砂利道を歩く音が聞こえる。

グラウンドの前側の歩道が砂利道になってるのだ。



「塁さん」



ワカの言葉に慌てて後ろを見る。



「なんだふたりだったんだ」



被っていた帽子で顔を隠すように通り過ぎる。



「塁くん…」


「瑛梨奈ちゃん、誕生日おめでと」



ポケットから何かをだしてあたしの手に乗せる。



「え?」



乗せられたのはストラップとキーホルダー



「2つ?」


「渡せなかった去年のクリスマスプレゼント」



塁くんの言葉に心臓が張り裂けそうになる。