雪乃はふう、と息をはいて手すりに寄り掛かった。
「実は私、来月に引っ越すんです。だからきっと佳苗との関係も終わります」
「じゃあ、縁を切る必要はねーじゃん」
すると雪乃は「はは」と笑ったあと、また顔を下に向けた。
「終わりになっちゃうのと自分で終わらせるのでは全然意味が違うじゃないですか」
そんな雪乃を見て、次にため息をついたのは俺のほう。
まだ幼い顔をしてるっていうのに口から出る言葉は大人の真似事みたいに背伸びして、16歳のガキが人生悟った、みたいな顔しやがって。
「忘れられるぐらいなら、関係のない人になったほうが楽です。そしたら私はきっと新しい土地に行って、新しい自分になれる気がするんです」
屋上に生暖かい風が吹き抜ける。
俺はポリポリと頭を掻いて、雪乃に言った。
「分かったよ。じゃ、今夜また神社に来い。そこでちゃんとお前の願いを叶えてやるよ」



