雪乃は少しずつ俺に話はじめた。
「私と佳苗は小学校からずっと一緒で。おそろいの物を持ったり同じ髪型にしたり、ふたりでいることが当たり前で本当に毎日ずっと一緒にいたんです」
「………」
「だけど佳苗はどんどん綺麗になって、同じ気持ちじゃないことが増えて」
「嫉妬?」
「違います。私は変わっていく佳苗を見るのがツラいんじゃなくて、そうやって私から離れていく現実を受け入れられないだけです」
屋上からはテニスコートが見えて、そこで佳苗は友達と楽しそうに汗を流していた。
「だから佳苗に好きな人ができたり、友達が増えていくたびに私は苦しくて。それを越えると許せない、全部ダメになっちゃえばいいのにって、そんな考えまで浮かんできて」
雪乃はそう言って瞳に溜まった涙を拭った。
「簡単にいえば依存してるんです。佳苗は私とだけいればいいのにって。昔みたいにふたりでいられればいいのにって」
ヘンですよね、と雪乃は俺に笑った。
恋愛感情とはまた違う執着心。
変わろうとしている佳苗と、
変わることのできない雪乃。
人間関係は本当に複雑で、本当に難しい。まるでそれは絡み合った糸みたいに。



