心ときみの物語


***

週明けの月曜日。午前中の講義を終えて、また俺はいつもの場所へと行った。

提出するレポートと数冊の本を持って、また太陽とご対面。ベンチに寝転がりながらパラパラと本をめくっていると……。


「縁っ」

「わあっ!」

気配もなくいきなり心春が現れたから、思わず〝らしくない〟声を出してしまった。

心春はベンチのわずかな隙間に座って、そのお尻で俺の体をどんどん押していく。


「狭いからあっちに座れ」

「うん。でもさ、聞いてほしいことがあってね」

また悩み事だろうか。その眉を下げてる顔は大体悪い話だって決まっている。

「なに?」

「実は……連絡先交換しちゃった」

心春の顔がパアッと明るくなって、その興奮を俺に伝えようと必死だ。悪い話だと思ってたのに予想が外れやがった。

「へえ、良かったじゃん」 

そんな心春とは真逆に俺は冷たく返す。


「……詳しく聞いてくれないの?」

「は?なんで詳しく聞かなきゃいけねーの?」

「だって……」

なぜかイラついてる俺。レポートが面倒だからとか、ちょっと嫌いなヤツに絡まれたとか、振り返ればイラつく原因はいくつかあった。だけど……。


「大学で初めて連絡交換できたんだよ?同じ学科で名前は百合子ちゃん。今度一緒にお昼を食べる約束までしたのに……」

「は?百合子?」

「え?知り合いなの?」

「いや、全然」

てっきり男だと勘違いしてた。