俺は用意されていた段ボールに着られなくなった服やもう使えない壊れたオーディオ機器を入れて、サンダルのまま自宅から目と鼻の先にある神社へと向かった。
ここも俺にとって庭みたいなもので、鳥居をくぐると空気の味がぜんぜん違う。
参拝者がご利益があるとされる絵馬に願いを書き込む中、俺は大あくびでその人たちの横を通りすぎる。
「縁」
呼ばれて振り返るとそこにいたのは神主の格好をした親父。俺はもう見慣れてしまったけど、父親が神主ってけっこう凄いことだって成長と共に分かるようになった。
俺の家はいわゆる神道の家系で、じいちゃんもひいじいちゃんも神主としてこの高嶺神社を守ってきた。
だからいずれ俺も、なんてぼんやり考えているけど……。
「大学はどうだ?やりたいことは見つかったか?」
「んーまあ」
俺は曖昧に流した。
俺が大学に通ってる動機は他人から見ればとても不純。やりたいことがあるから大学に行くのではなく、やりたいことを見つけに大学に行くなんて、なんて甘い選択なんだって笑われると思う。
そして、それを許している親も甘いと言われる。だからこんは甘くてゆるい考えの俺が作られたことは否定できない。



