心ときみの物語


***


「縁!いつまで寝てるの?早く起きなさい!」

週末の日曜日。

せっかく目覚ましをかけずに昼過ぎまで寝ていようと思ったのに母ちゃんがはたき棒片手に部屋へと入ってきた。

不機嫌そうに布団を被ったけど、それもバサッと剥がされる。


「なんだよ?休みの日ぐらいゆっくり寝かせろ」

「いつも寝てるじゃないの。今家の中の大掃除やってるのよ。あんたの部屋のいらないものも整理してちょうだい。一緒にゴミで出したほうが手間がないでしょ」

「いらないものとかねーし」

そう言ってゴロンと背中を向けると、埃(ほこり)のついたはたき棒で頭をパンパンッと叩かれた。


「っんだよ。やめろ!」

「そんなに睨んだってお母さんには通用しませーん」

結局俺は起きることになってしまった。

家族の関係を聞かれると困るけど、仲が良いわけでもなく仲が悪いわけでもなく。至って普通の家族。

反抗期はそれなりにあった。

でも母ちゃんはあんな性格だし、俺が壁に穴を開けた時は『ここにお花でもさしちゃう?』なんて冗談を言うほど肝が据わっている。