心ときみの物語



べつに深い意味はない。ただ講義を受けて図書館で昼寝をする毎日に飽きてきたところだったし。周りからも俺が寂しいヤツだと思われているのは嫌だったから。


「あ、縁も日替わりランチにしたの?へへ、私も」

昼休みの食堂。

天井が高くてガラス張りの解放感がある空間で、学生たちが各々自由な席で昼食中。グループで食べてる人もいれば、片隅でスマホをいじりながら食べてる人。

俺の滞在時間はいつも10分くらい。さっさと食べて、さっさと片付けて、またぼーっとする。それが毎日のサイクルだったはずなのに……。

「美味しいよね。特に水曜日のランチは人気だからお互いに食べられて良かったよね」と、心春は俺の隣へと座る。


話し相手ぐらいにはなってやると言ってから数日が経った。最初は敬語混じりのタメ口からはじまって、呼び方も高嶺くんから縁くんに。

最近はようやく慣れてきたのか敬語は消えて俺のことを名前で呼ぶようになった。

俺は昼食に時間を使いたくないタイプなのに心春はとてもゆっくり食べる。その姿を肩肘を付いて無言で黙視。

「なな、なに?」

口の中に入った混ぜご飯をゴクリと心春は飲み込む。


「ちいせー口」

「え?そ、そうかなあ?」

急かしてるつもりはないけど俺の視線が気になるのか、心春はリスのようにご飯を口いっぱいに詰め込んで。それが本当に小動物のようで思わず笑いそうになった。