色葉は、自分の話を俺にしてくれた。
重くて、ツラかった話を、話してくれた。
話している最中の彼女の表情は、やっぱり悲しそうで、寂しそう。
俺がたまに見る表情だった。
色葉は、今話してくれたことをずっと抱えているままなんだ。
思いつめたまま。
でも、思いつめていないふりをしているのだ。
まるで、「過去の話だから気にしていない」というように
俺に振る舞う。
だけどそんなことがあるはずない。
色葉は、そんなに人と関わることを嫌がっていたのに
どうして俺なんかに関わりたいと思ったんだ?
前にも聞いたけど、色葉もイマイチよくわかっていないようだった。
俺に近づきたいと思ったのは
どうしてだ?
以前彼女が言っていた、「同じ匂いを感じたから」という言葉。
今ならなんとなくわかる。
“関わりを求めない”
“関わりを求めたくない”
その感情が俺と似ているということに、彼女は感じ取ったんだと思う。
でも、まだわからないことがある。
同じ匂いを感じただけで、“関わりたい”と思うのはどうしてだ?
過去の話を聞いていると、「面倒」だという言葉が多かった。
「面倒」なのに、どうして俺と関わりたいと思ったんだ?
また、過去のようなことが起きるかもしれないのに。
いろいろ考えなくてはいけないかもしれないのに。
関わったところでいいことなんてないかもしれないのに。
なのにどうして、こいつは……


