「そういえば、さっき何言おうとしたの?」
色葉が聞いてきた。
「さっき?」
「「松永さんってさ」って、なんか言いかけてたから。私遮っちゃったけど」
あぁ、名前の話で忘れかけてた……
「あぁ、ちょっと気になったことがあったんだよ」
「なになに?」
俺はパンの袋を開けて、一口だけかじる。
やっぱ、美味しくねぇな……。
前のめりになって聞いてくる色葉に、俺は問いかけてみた。
「さっき、お前、「ご飯が美味しくないっていうのわかる」って言った。それが、なんでかなって……い、言いたくなかったら別にいい。」
俺は色葉の顔を見ずにそう言った。
色葉は、どんな顔をしているのだろうか。
聞いてはいけなかっただろうか。
聞いてしまったあとで、モヤモヤとした気持ちになってきた。
「私……」
すると、色葉が口を開いた。
「……私ね、いじめられてたんだ。」
その言葉に、俺は色葉に顔を向けた。
色葉の表情は………………悲しそうだった。


