今日も屋上のいつもの場所で、俺は色葉とお昼を過ごす。
「も〜また何も食べないつもり!?パン買ってきておいて!」
俺は色葉と出会った時から、お昼に何も食べたことがない。
「だって、飯なんてそんなうまくねぇんだよ。なんならやる。」
俺は袋に入っているパンを色葉に差し出す。
「私はお弁当あるからいらないよ!美味しくなくても食べなきゃだよ〜」
色葉は卵焼きをほおばりながら心配そうに言ってくる。
「……食欲だってそんなねぇし。」
「……ふーん。」
色葉は俺がそう言うと、しつこく言ってこなかった。
「なんだよ、なんも言わねぇのかよ」
俺は差し出したパンを引っ込める。
「ごはん美味しくないっていうのも、食欲ないっていうのもわかるから。」
また、色葉は少し寂しそうな顔をする。
なんでお前はたまに、そんな顔するんだよ。
「今はしろがねくんがいるから、美味しいけどね!」
「ふーん……」
俺がいるから……か……。
色葉は笑っているけど、心の底から笑顔だとは思えない。


