転校してきて二週間くらいが経つ。
相変わらず、俺はクラスの人たちとの距離は縮まらない。
でも、松永色葉との距離は一気に縮まり、日が経つにつれて少しずつ話しやすくもなってきた。
松永色葉……彼女は、不思議だ。
俺のことを気味悪がらない。
こんな力、他の奴らなら、知ったらすぐに避けていくのに。
なのにこいつは、『助けてくれた』とか、『救われる』とか、またおかしなことを言う。
俺の力が、誰かの役に立っている?
そんなこと、考えたことない。
誰かのためにこの力を使えているなんて、思ったことなかった。
ずっと、いらないものだと思ってた。
必要のないものだと。
だから、この力を持っている俺は、必要のない存在なんだって思ってた。
みんなして避けるから
みんなして気味悪がるから
俺はなんのためにこの力を持っているんだと、ずっと疑問だった。
でも、彼女の言葉で、俺はなんだか心が軽くなった。
俺の力を、そんなふうに思ってくれるなんて
つい泣いてしまうほど、本当に嬉しかったんだ。
俺にとっては彼女の言葉が、救いだった。