「…………正気かよ」
またしろがねくんは、私から目線をそらして下を向く。
「読んでみる?」
しろがねくんに、私は手を差し出した。
彼は私の差し出された手を見た。
だけど、首を横に振ったのだ。
「……いや、読まない。疑いたくない。……俺は、お前を信じたい。」
嬉しかった。
しろがねくんにそう言ってもらえたことが
すごく嬉しかった……。
相手にとっては私の本心なんてわからないのに
心を読まない限り、わからないのに
なのに彼は、“心を読める”という力を使わずに
私のことを信じようとしてくれた。
それがとても、とても……嬉しかったんだ。


