ぬくもりをキミに




しろがねくんはまた、屋上へと向かっている。




私は何も言わずにしろがねくんについていった。




そして階段を上がり、思い扉を開いて屋上へと出る。




柵の方に歩いていくしろがねくんの後ろ姿を見ながら、私はまたしろがねくんに声をかけた。




「しろがねくん」




しろがねくんは、ゆっくりと振り返る。




闇のようにくらい彼の瞳。




どうしてそんなに、悲しそうな顔をするの。




「しろがねくん、わかってたんでしょ?」




私は少しの距離を保ちながらしろがねくんに尋ねる。




「…………」




でも彼は、また何も言わないまま。




「……しろがねくんは、私の危機を察知したんでしょ?」


「…………どうしてそう思う?」


「しろがねくんがあの時、「行くなよ」って私を止めたのは、私が危ないってことをわかってたから言ったんじゃないかって思ったから。じゃないと、いきなりそんなこといわないでしょ?」


「……俺が、松永さんの危機を察知したなんて馬鹿みたいなこと、考えるんだ。」


「私は、本気で思ったよ。」


「じゃあ、もし俺が本当に察知したんだとしたら、どうする?」




また、泣きそうな顔をするしろがねくん。