なぜか、私が助かったのはしろがねくんがいたからだと感じた。
彼があの時、焦って私を止めたのは、この最悪の事態を避けるためだったのではないかと
よくわからないけど、なぜかそう思ったのだ。
「しろがねくん」
私は隣にいるしろがねくんに呼びかける。
そして、ふと、こう聞いた。
「しろがねくん、もしかして、このことをわかっていたの?」
すると、しろがねくんはゆっくりと私の方を向いた。
「…………」
しろがねくんは、私の目をじっと見つめると、教室から出ていこうとした。
私はしろがねくんのあとをついていく。
しろがねくんは、知っていた。
きっと、知っていた。


