「しろがねくん、もしかして人の心が読めることが原因で人のこと避けてたの?」
しろがねくんが転校してきて四日目の昼休み。
私たちはまた屋上でお昼を過ごす。
私はお弁当を食べながらしろがねくんに質問した。
「まぁね。この力がある限り、人と関わることでいいことなんてないからな。」
しろがねくんは、またコンビニで買ってきたパンを見つめながら話す。
「へぇ〜、どうして?」
「まぁ、普通に嫌がられる。みんなが持っていないものを持っていると、気味悪がられるんだよ。」
「……なんでだろーねぇ。」
「そりゃあ、普通じゃないからだろ。」
「……普通って、なんだろうね」
「え?」
私は空を見上げた。
「“普通”って言っても、何が普通かなんて、わからなくない?しろがねくんにとって「人の心が読める」っていうのが普通なら、しろがねくんは普通だよ。」
「…………」
「自分が普通だって思っていたら、それが普通なんだよ。誰にも、自分の中の何かをけなされる権利なんて、ないんだよ。」


