転校してきて三日目。




今日のお昼休みも、屋上へ行く。




また同じ場所に座って、一息つく。




ガチャリ。




そして、屋上の扉が開くと、またあの女がいた。




「ふふっ、いてくれた」




女は嬉しそうに、そう言いながら俺に近づいてくる。




『いてくれた』




その意味は、わかっていた。




昨日あの女が言った、「明日もここに来る」という言葉。




あれは、俺に『嫌だったら避けろ』と言っていたんだろう。




この女、賭けてた。




俺も、なんで避けないかな。


あんなにわかりやすく忠告してくれたのに


また、普通にここに来てしまった。


この女が来るとわかっていながらも


来てしまった。


…………いや、この女が来るってわかってたから


来たのかもな。


俺、なんか変だ。


なぜかこの女だけ、避けることができない。


無視できない。




きっと俺は、彼女のみんなと違う“何か”に、引き止められているのだろう。