女は立ち上がり、俺の右隣に来て柵の向こうを眺めた。
「『誰とも関わりたくない』って、しろがねくんはそんな目をしてた。」
…………まぁ、そうだからな。
「どうしてそんな目をするのか知らないけど、私も同じだからわかるの。」
女は淡々と話し始める。
俺と同じ?
それから女は、
「ちょっとしたことを欠点として、すぐ責める。欠点なんて、絶対ひとつはあるのにさ。」
そう言った。
「いろいろめんどくさいから、人と関わるのやめたの。」
「いろいろ考えなくていいし、その方が楽。」
「私は一人があってるって実感したよ」
俺にはどの言葉も共感できた。
俺もそう思ってる。
でもなんで、関わるのがめんどくさいのに
一人があってるって思うのに
俺に話しかけてきたんだ。


