「……ヤダよ」 「ダメだよ、ヒトシくん」 僕は何度も頭を振る。 「お願い、ヒトシくん!」 彼女は懇願するように僕をじっと見つめる。 考えてみたら彼女が僕にお願いすることなんてほとんどなかった。 その彼女の願いを叶えてあげなきゃいけない。 彼女を解放してあげなきゃいけないんだ。 「……バイバイ」 自分のふがいなさにしゃがみ込んで泣いてしまった。 「ありがとう、ヒトシくん。……バイバイ」