『さっちゃん、ごめんね』

『本当に好きだったんだ』

『もう一度だけあってほしい』




偽物のはるくんこと、りゅうくんから毎日連絡がくる。
その度に胸は痛むけれど既読無視をする。

ここで彼に流されてしまってはいけない。


毎日モヤモヤした気持ちで仕事へ向かう。




「さつき、最近元気ないねぇ」


「りん…」



同僚のりん。

同じ部署で働いており歳も同じですぐに仲良くなった頼れる友人。



「なに〜?恋人と別れたとか〜?」



「…うん…」



「えっ!?まじ!?
ご、ごめん!冗談のつもりだったんだけど…!!」



「大丈夫だよ!」



頑張って笑顔を作る。
本当は、何が何だかわからなくて苦しい。なんでこんなに苦しいのかも分からない。



「…もう!何年一緒にいると思ってるの?あんたの作り笑顔なんて私には通用しないんだから!
何かあった?相談にのるよ?」




「…りん…」




りんの温かさに涙が浮かびそうになる。
そして、素直にりんに事情を伝えた。




「なっっっっにそれ!!!!最低!!
1晩共にしたことは置いといて、ずっと嘘ついてたんでしょ!?しかもさつきの初恋の人になりすまして!最低だ!!
さつきは何も悪くないよ!そんなやつ、別れてよかったんだよ!」



「えへへ…りん、ありがとう」



りんは優しい。
頑張って励まそうとしてくれてるのが分かる。りんがいてよかった。



「よし!じゃあ今日、合コンいこ!!!」



「へっ!?」



「失恋…ではないけど、新しい恋どんどんしていかなきゃ!!!
私がセッティングしてあげるから!ね?」



「でも今日は気分じゃ…」



「黙って行く!!!!」



「は、はい…」




こうなったら、りんは誰にも止められない。
諦めて大人しくしておこう…