「あ~・・・また、あのロボットが暴れているよ・・・。」

 もはや、カミレンブルーでも何でもなくなった、青山茂がそんな言葉を耳にしたのはコンビニバイトの面接に行く途中だった。

 言われて顔を向けると、滑り台と・・・なつかしのロボが暴れている姿が見て取れた・・・。

「カミレンロボ・・・。」

 茂の口から、思わずそんな懐かしい名前が漏れる・・・。

 ギアを入力して、叫ぶだけで変形する素敵なロボット。

 自分の意のままに操れる不条理極まりない正義のロボット・・・。

 つい先日までアレを動かしていたのは俺だったのに・・・・・。

「まったく・・・あれも、もう少し予告とかして欲しいよなぁ~・・・。」

 学生服の若者が、そんなことを口にする。

 学生よ・・・目の前で巨大ロボが動いていて、口にするのはそれだけか・・・。

 もう少しハシャゲよ!若者ならさぁ~・・・。

「でも・・・そうなんだよな・・・。」

 茂は、学生に一通りつっこんだ後、不意に口にした。

 そうなんだ・・・。

 あのロボを動かせるのは自分だけではない。

 口で言えば、意のままに操れるロボット・・・。

 免許さえあれば、誰でも動かせるロボ・・・。

 そんなの・・・・・・・俺じゃなくても・・・・いくらでも代わりはいる・・・・。




 カミレンブルーの代わりは・・・・・どこにでもいたんだ・・・・・・・・。



 そう思うと、とても悲しかった・・・。