「油良ごめん。マジで作ってきてくれるなんて思わなかったんだよ」


アイツからはもらってないよ、って両手をあげて見せる。

油良はじと……と一瞥すると、俺が足元に置いてた油良が投げつけてきた弁当箱に視線を移す。


「……あなたが、喜んでくれた、いいなって、思って……早起きして作ったのに……」


「……ごめん」


油良を抱き締める。

今度は抵抗されなかった。


されるがままの油良の額にキスを落とす。

油良がぎゅっと抱き付いてくる。


「もう食べられないわね……」


「食べるよ」


強く抱き締め返して、頭を撫でる。


体を離して、弁当を開けてみる。


「あー……」


「ぐちゃぐちゃだわ……」


案の定ぐちゃぐちゃになった中身。

でも、原型は何となく残ってる。


ハンバーグと、卵焼きと、トマトと……。


うぅ、綺麗な状態で見たかったし食べたかった!

俺の大バカ野郎!


自分を殴りたい気分だった。