最初座っていた席順はバラバラで、私と晴香ちゃんの前には絵里さんがいます。

「絵里さんは~いないんですか?」

晴香ちゃんが絵里さんを見て訊きました。

わわ!
どうしましょう、実は桃川さんと付き合ってるって言われたら!
アッセアッセ。

「えー、いない。よ?」

「なんか今のイミありげな言い方~!」

晴香ちゃん、ニヤニヤしながらつっこみます。

意外と絡み酒という派かもしれませんね。
ちょっとめんどくさいですね。

あ、すみません!
私も人のことは言えないのです!


「……ぶっちゃけ、サークルの中に好きな人いないんですか?」

おお!晴香ちゃんのこと切り込み隊長と呼ばせていただきます!

晴香ちゃん、目を輝かせて絵里さんを見てます。

「いないいない」

「ほんとですか~ぁ?」

「ホントホント~」

絵里さんは手に持ったビールを口に運びました。

あれ?なんか絵里さんの目が泳いだような?

えぇ!
もしやホントに桃川さんと!?

「絵里さん!絵里さん!」

「いや、聞こえてるし」

晴香ちゃんの興奮した声に冷静に突っ込む絵里さんです。

絵里さんはやっぱりザルという人種ですね。
もう3杯目の中ジョッキの生ビールを半分以上飲み終えてますが、まるっきりシラフのようですもん。