「じゃあそこに座ってるから」



俺は部屋にあるソファーをさす。



「わかった」



愛來は俺の手を離す。


本当は離したくなんかないし
気持ちなんて聞かせたくもない。


でも、こうしないといつまでも
愛來の心にあいつが残ってる気がして。



「あの時は本当にごめん」



智志が愛來に頭をさげる。



「もう、いいよ。もう…」


「俺、ずっと今でも1番好きなのは愛來だよ」


「…何、言ってるの?」



愛來が怪訝な顔になる。



「俺、ずっと後悔してた。失ったものがデカすぎて。気づいた時にはもう由月といた」


「遅すぎじゃない?」



俺はこいつらの過去がわかんない。

積み上げてきたものは
俺以上にあるだろう。