「何にって、しつこかったかなって」


「星那、なんか悪いことしたの?」



愛來が感情がなくしたままのような声で呟く。



「してない、けど」


「わかってないのに謝らないで!」



愛來がそう叫んだかと思ったら
立ち上がって服を直す。



「待って、マジで帰るの?」



俺は弱々しく愛來の服の裾を引っ張る。



「ごめん。今日は帰りたい」


「理由だけしりたい」


「あたし、前の彼氏。そうやってアピールされてた女にとられたの」



それだけ言って立ち上がる。



「だから、そういう話嬉しそうにする人好きじゃない」



俺をキッと睨んだ。


あぁ。そうなのか。
愛來にとって過去のトラウマなんだ。


それなのに俺はうれしそうに
由月が彼女から智志を奪った話なんかして。


なにやってんだ。