「…ごめん。愛來の気持ち考えないで」


「星那は悪くないよ。とりあえず今日は帰らせて」


「送るよ」



星那が車のキーを取りに行く。



「いい」



あたしは首を横に振る。



「じゃあせめてタクシーで帰って呼ぶから」


「…うん」



あたしの返事を合図にスマホでタクシーを呼ぶ。


そして


「これ」



って一万円を財布から抜いて握らせる。



「…いいよ。しかも多いし」


「いいから」



諦めそうにない星那だから



「わかった」



財布にお金をしまう。



「明日、また連絡するから」


「…うん」


「気持ちが落ち着いてたら会おう」


「…うん」



こうして全部あたしのわがままでしかないのに
優しく包み込めるって
やっぱり星那は大人だなって思う。



包容力がすごい。