「何にって、しつこかったかなって」


「星那、なんか悪いことしたの?」


「してない、けど」


「わかってないのに謝らないで!」



あたしははだけていた服を直す。



「待って、マジで帰るの?」



服の裾を遠慮がちに引っ張る。



「ごめん。今日は帰りたい」


「理由だけしりたい」


「あたし、前の彼氏。そうやってアピールされてた女にとられたの」



それだけ言って立ち上がる。



「だから、そういう話嬉しそうにする人好きじゃない」



星那はなにも悪くないのに。

悪いことにしないとやってられなかった。


だって、もう。
黒い感情しかあたしには残っていないんだもん。