「まぁ、たしかに」



この会社に入社して5年。
彼女がいなかったわけではない。

でも、俺。
彼女より仕事が大事なタイプだから。

いつも決まって。



『ずっと寂しかった』



そういわれて振られてきてるんだよな。


寂しいなら言えばいいじゃん。

俺は何も。
彼女の言葉を聴かない冷血人間なわけじゃない。



「お前も早く結婚しろ。いーぞー結婚は」



泰志が薬指に光る指輪を見せてくる。



「はいはい」



泰志が結婚したのは去年。
泰志は大学の頃からずっと後輩と付き合ってきて。
そのまんま結婚。


俺だってそれが羨ましいと思わないわけじゃない。


でも自分で全部できてしまうから。
結婚しなくてもやっていける。
彼女なんていなくていい。
そう思ってきたんだずっと。