「この展示会、美桜さんのとこのだよね?」


「あぁ」


「美桜さんからもらったの?」


「そう」



分かってた。
分かってて聞いた。
それにそうだとしてもなにも文句なんて言わないって思ってた。
でも実際に聞かされるとやっぱり無理で。


あたしの手からチケットがひらひらと落ちる。



「だったら行きたくない」


「わかった」



あたしの言葉にチケットを拾い上げる。



すでに下に行ってしまったエレベーターをもう一度呼ぶ。



あたし達の間に会話はない。
星那はポケットに手を入れて何やら考えてる表情。
なにを考えてるかは読み取れない。



「星那、今日はデートやめよう」



沈黙を破ったのはあたしだった。



「愛來がそうしたいなら合わせるよ」



星那の口調はおだやかだった。
でも、表情はいつもより暗い気がする。



あたし星那のこと傷つけてるのかな。