「嫌なんて思ってない!」



開いたエレベーターに乗ろうとする星那の腕を掴む。



「愛來?」



星那が首を傾げる。


このままでいるよりは言ったほうがいい。



「星那さ、これ誰にもらった?」


「え?」



星那が考え込む表情になる。



「誰?」


「取引先で働いてる人だけど?」



うん。確かに嘘ではないよね。
それだけの関係じゃないくせに。



本当は


〝そっか〟



そう言えたらよかったのかもしれない。

でも、あたしはそんないい子じゃない。



「元カノだよね?」


「は?なん…」



星那が目を大きく見開く。



「噂になってたよ!美桜さんと星那が前に付き合ってたって!」


「マジか…」



星那の顔には色がなくなってるような気がする。
多分星那はいう必要ないと思っていたのだろう。
でも、バレるなら。
先に言ったほうがいいよね。