━━チーンッ



エレベーターのドアが開く。

開いた先はもう展示会だ。


あぁ。
一年前ここで星那と付き合うことになったんだ。
って思い出す。



「愛來」



受付に向かおうとしたところ、星那に呼び止められる。



「ん?」



星那のほうを振り向く。

最初に会った時以来はじめて顔をみた。
焦ってるような表情をしてる。
たぶんあたししか見れない。
余裕のない星那の表情。



「ここ嫌だった?」



苦しそうな顔になる。



「え?」


「俺はさ、ここがやっぱ俺らの始まりだから。展示内容は違ってももう1回ここにきたかったんだ。でも、愛來が違うなら帰ろう」



星那がエレベーターの下ボタンを押す。



あたしだって。
ここで1年を迎えるのは嬉しい。
それが嫌なわけじゃない。
でも、どうしても美桜さんが頭に浮かんでしまう。
美桜さんの頭を撫でていたのを。