「愛來、ありがとう」


「こちらこそ。星那ありがとう」



俺らは目が合ってそして笑い合う。



「好きだよ」


「ん。好き」



どちらからともなく顔が近づく。



「んっ」



角度を変えて何度も絡み合う。

最初の頃にしていたキスと全然ちがう。
なにがかわったかなんてわかんないけど。

でも確実に
ふたりのなかでそれぞれ存在は大きくなってってる。


多分俺らなら大丈夫。
何があったも続いていける。
いまはそう信じてる。


〝結婚〟


その言葉を口にするにはまだ少し早いけど。
俺はずっと意識してる。

俺に愛來を、いや家庭を
守れるような自信なんてまだまだ足りない。
未熟者だし。

いつか自信が持てたら
その日に言うからまっててくれよな。



「ねぇ、嵌めてくれる?」



愛來が箱から指輪を出す。



「今回は左手な」


「婚約だもんね」



愛來が左手を俺の前にだす。