「取引先で働いてる人だけど?」



嘘はついてない。
美桜は確かに取引先のひとだ。



「元カノだよね?」


「は?なん…」


「噂になってたよ!美桜さんと星那が前に付き合ってたって!」


「マジか…」



隠してたつもりは…あったな。
てか、言う必要なんてないと思ってたし。



「この展示会、美桜さんのとこのだよね?」


「あぁ」


「美桜さんからもらったの?」


「そう」



愛來の手からチケットが落ちる。



「だったら行きたくない」


「わかった」



俺は落ちたチケットを拾い上げてもう一度エレベーターを呼ぶ。


なんかデートどころじゃないし。
婚約指輪どころじゃねぇや。


俺はポケットの中にてをいれる。


コツンとぶつかる箱。


かっこよく渡すはずだったのにな。



「星那、今日はデートやめよう」



「愛來がそうしたいなら合わせるよ」



なんか俺らいつも問題起きてるよな。
まぁ、いつも俺がわるいのか。